上海でお世話になった友人Kと別れ、上海虹橋空港へ向かうタクシーの中、もうすぐ後にする上海の風景を眺めながら、一緒にいた友人と、今回の旅を振り返り、色々なことを話しました。
家族のような仲の親友達と久々に3泊4日も一緒に生活出来たことは、とてもとても楽しかった!でも楽しいことだけでなく、日本ではなかなか目にすることの出来ない光景や、体験に、ショックな気持ちやつらさを覚えることも、沢山ありました。
「色々なことを感じることはいいことだよ」と、友人は言いました。旅行に限らず、同じことを体験して、同じものを目にしても、皆が同じことを感じるとは限らない。中には何も感じない人もいる。それは、今まで自分が生まれ育ってきた環境や、してきた経験によって身についた価値観や、考え方が、皆それぞれに違うから。そんな中で、少なくとも今、何かを感じ取れるような自分でいられるのは、自分が親に育ててもらった環境やしつけのおかげだったり、今まで出会ってきた人にめぐまれ、影響を受けたからであったり・・・そういうことがあって、今の自分があることを幸せに思わなくちゃいけないね、と、友人は言いました。
でも、この話をしていた時のマミィは、必ずしも自分が幸せとは思えませんでした。この旅の間、日本では目にすることのなかった貧富の差を目にし、色々なことを感じ、何度も自分が嫌になりました。
この料理を分けてあげられたら?ほんの少しでもお金を分けてあげられたら?でも誰に?そんなことが出来たとしても、全ての人を救うことはマミィには出来ないし、まさか国を変えることだって出来ない。それに、日本よりもひどいと言っても、それでも中国の貧富の差はまだいい方で、世界中には、もっとその差が激しく、今日明日生きる命さえ危うい人々が溢れている国だって沢山あるのです・・・。
何度も何度も、自分の無力さが情けなく、悲しくなりました。マミィに出来ることって何もないの?
でも、そんなことを感じたのも事実なのに、友人宅に帰った時、高級料理店で美味しいお料理を食べた時、日本と同じようにキレイなデパートに入った時、ホッとしてしまう自分がいたのも事実なのです。
そんな時、無意識にホッと安心してしまう自分に気付き、その度に「自分は何て醜い人間なんだろう」と、自分自身にがっかりし、自分を腹立たしく思いました。
自分の無力さを感じながらも、何か出来ることはないかと、実際行動に移し、様々な方法で支援活動をしたり、ボランティア活動をしている人は、きっと山ほどいることでしょう。
でもマミィは、「キレイな方がほっとする」、「美味しいものが食べたい」、「自分にも生活がある」、「貧しいのは嫌だ」と、結局、自分が一番大事で・・・そんなマミィは、キレイ事を口にするだけで、何の行動も起こしていない・・・所詮、友人が言った、「何も感じられない人」と、やっていることは何も変わらないのです・・・。
友人との話にはまだまだ続きがありました。友人が言ってくれた「何かを感じることが出来るのは幸せだ」ということ。それが大切なのは分かっているけど、結局何も出来ず、もどかしさや、怒りを覚え、つらい気持ちになるのなら、もしかしたら、「何も感じない」方が、ある意味幸せなんじゃないか・・・その時のマミィはそんな風に話しました。
そして、また海外旅行をしてみたいか、という話になった時、その時のマミィはこんなことを答えました。
分からない。中国よりも、もっと悲惨な国は沢山ある。もっともっと他の国も見てみたいという気持ちになった。でも同時に、もうこれ以上何も知りたくない、という気持ちもある。知って、また同じような、もしかしたらもっとつらい気持ちになるのが怖い。・・・と。
これが、マミィの海外旅行デビューです。これで今回の「上海旅行記」は最後にしようと思っていた、今日のこの日記を書くまでに、とても時間がかかりました。あの時感じたことを、そのまま書いて終わらすのでは、「もう海外旅行はしたくない」と、この旅行自体を否定してしまっているような気がして、なかなか書けませんでした。
ところで昨日、友人らとランチをしました。そこでやはり海外旅行の話になり、そこにいたそれぞれが、様々な国で受けた思いや、経験を熱心に話してくれました。それを聞いて、上手く言葉では表現出来ないけれど、心に微妙な変化が生まれました。
マミィは、またきっといつか、海外旅行に行くと思います。と言うか、行きたい。今度は、行く前にせめて、もうちょっとその国の歴史や、その国の挨拶程度の言葉も覚えて。
今までマミィは、あまりに乏しい経験の中で生きてきたのかもしれない。自分で思うこと、感じることは、その中で得た物で、すごく視野も狭く、思うこと一つ一つの深さが足りなかったのかもしれない。
昨日会った友人達は、全員、マミィが心から尊敬する大きな人間です。マミィは無力で、醜い人間かもしれないけれど、それでも、今の生活を精一杯生きていきたいし、大切な人達に対して、恥ずかしくない自分でありたい。どうすることでそれを表現出来るかは分かりませんが、視野が狭くても、広くても、海外旅行をしてもしなくても、見るもの、聞くものが、ただ通り過ぎてしまうだけの毎日ではなく、その中で精一杯努力して、出来るだけ多くのことを得たい。
この「上海旅行記」を読んでくださって、「マミィって経験乏しいなぁ〜」、「考え浅いんだなぁ〜」、「今までそんなことも考えないで生きてきたのか!」なんて、思われた方も、多くいらっしゃるかもしれないですね。でもその通りなんだと思います。ぬくぬくと平和ボケした生活を送ってきたマミィでした。それがこの先どう変わるかどうかは、自分でも分からないけれど、でもあえてそんな今の自分をここに記しておくことで、この先の自分のエネルギーに変えていけたらと思っています。
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